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楽しくてたまらない「ブラック企業」

 小澤さんが手がけるのは、依頼を受けてプラモデルを完成させる「製作代行」だ。
午前4時から作り始めることもある。食事をしたり、妻の買い物に付き合ったりする
時間を除けば、一日に十数時間、机に向かう。

 「自分で自分を雇うブラック企業だよ」

 笑いながら見せてくれた戦闘機の製作期間は約3カ月、作業時間は300時間を超えた。
製作代金は17万円。作業時間で割れば1時間あたりの収入は500円ほどだが、不満はない。

 「どこがそんなにおもしろいのか、自分でも分からない。
だけど、バイク模型の燃料タンクに細い線を一本描くだけでも楽しい」

 極細の筆を持ち、息を止めて線を引く。
ほかのことは考えず、目の前の小さな部品だけに集中する。
その間は老後の不安も過去の失敗も頭から消え、ただ充実した時間だけが過ぎていく。

 「定年で仕事を辞めたらテレビを見て過ごすだけ。それじゃ人生、面白くない。
やっと自由になれるんだから」

 ネットで「プラモデル 製作代行」と検索すると、小澤さんのサイト「森のワークベンチ」
が上位に表示される。依頼は全国から届き、半年先まで予約が埋まる。

 昨年の売り上げは約130万円だった。
大もうけはできないが、年金と合わせれば暮らしていける。
好きなことが暮らしを支える大切な柱になった。