9月17日(木)朝日新聞調教版朝刊「声」欄

新聞 民主社会の「食べ物」だから   元大学教員 暉峻淑子(東京都 98)

正誤ない交ぜや偽の情報があふれて、多くの人が何を頼りに判断して生きていくべきか、
戸惑っている。そういう時、私は「信頼できる最後のとりでだから」と新聞をよむことを
強く勧める。

ところが、時々家事を手伝ってくれている中年のヘルパーさんは「実家では新聞を取っていて
よく読んだけれど、世帯を持ってからは新聞代より優先して払うべき支出が多く、取れない」
という。「記事が時事教材となることを考えれば、子どものためにも取りたいのに」と
悲しげな表情だ。

そこで私は3カ月ほど前、「もし、2日遅れでもよければ、私が読んだ新聞を持ち帰って
読んではどう。時には切り抜きで穴が開いているけど」と提案した。彼女は喜んで持ち帰った。
最近、「社会の出来事をつながりをもって認識できるようになったし、子供の社会への関心も
高めたい」と感謝されている。

朝、図書館に行くと、高齢者が新聞を奪い合うように読む光景にぶつかる。フードバンクならぬ
「新聞バンク」を団地やアパートなどの一角につくり、2〜3日遅れの新聞をタダで持ち帰って
もらってはどうだろうか。新聞は民主主義社会に必須の「食べ物」だ。数日後でも読む価値のある
記事は多々ある。一人でも多くの人に読んでもらう運動を広げたい。
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暉峻淑子といえば有名な学者じゃないか。お元気だったか。