「あなたの運命の男性はここから北北西の方向16Kmにいます。はい、お代は50000コインとなります。」
大通りから外れた路地の片隅で、カーヴィは迷えるカモ...いや子羊を導いている
「次はアタシを占ってくれ!」
ライダースーツに身を包んだ女性や本を片手に並んでいる女性、ハリネズミを肩に載せた女性など客層は様々だ
彼女を少し知る人からすれば、不思議な光景と言わざるをえない
何せ、以前まで恋愛占いなんて無意味ですねと宣っていた彼女が、恋愛占いの看板を掲げて更にはこの行列である

「おい、いい加減にしろよ。俺の力はこんな下らない事のためにあるんじゃねーぞババア」
ピンクの髪を揺らし、机の下から顔を覗かせた小さな男の子が不満を露わにする
この少年の名は七夕。駆け出しの恋愛の神様だ

「貴方が人間の恋愛を勉強したいと言いだしたのです。私と契約をしたからには私の命令に従うのが当然だと思いますが」
「何が契約だ!てめーが俺様に無理やり西洋の焼き菓子を食わせて結んだだけだろうが!ああん?」
おそらく騙されたであろう哀れな少年は可愛い顔を歪めて精一杯凄んでみせるがカーヴィはどこ吹く風といった様子だ

「本当に嫌ならば逃げればいいじゃない?神様ならば容易いはずでしょう?」
「それとも…夜のお勉強が楽しみすぎてもう待ちきれないのですか?」
カーヴィの体温の低い指先が、そっと七夕の耳をなぜる
「ひゃっ!?なっ!?」
少年はその髪に劣らない程、頬を桃色に染め、抗議の視線を上に向けた
その顔はカーヴィの嗜虐心をいつも擽るのだ
「仕方ないですね…運命には抗えません。一旦仕事を中断して、少しお勉強をしましょうか。先程私をババア呼ばわりしたことも含めて、たっぷりと教育してあげます。」

カーヴィは休憩中の札を占い机に立て掛けると、少年の小さな手を引き路地裏の更に奥へと消えていった

そして……