あの人は今  元渋谷アベマズ 松本吉弘さん(55歳)

2048年、Mリーグ。 それをスマホで見つめる男がいた。
当時最年少の26歳で将来を嘱望されMリーガーとなった、松本吉弘さんだ。
「あの頃は若かったですね(笑)」若き日を回想する松本吉弘は、どこか寂しげだ。
「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。2025-2026レギュラーシーズンで、俺の勝利でセミファイナル行きを決める夢を」
松本さんは34歳の時に「当たり牌を掴んでしまう恐怖」からイップスとなる。*2、10年間リハビリを続けたが結局完治することはなく、表舞台から姿を消した。
今はジラフクレープ溝の口店の店長を務める傍ら、老人ホームで麻雀を教えている*3。
老人ホームには、かつての盟友・多井隆晴元プロも入居している。
「いらっしゃい」。溝の口駅東口から歩いて10分、すらっとした高身長の男性が老人ホームの扉を開けてくれた。

腕に巻いた赤いリストバンドは、Mリーグでしのぎをけずった内川幸太郎プロからの贈り物だ。

「去年の4月から麻雀を教えています。教室に参加するためにわざわざこちらの施設に通ってくださる方もいるのはうれしかったですね。多井さんには今も怒られてます(笑)」
松本さんは本当に嬉しそうに、僕たちに語ってくれた。

とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。
「麻雀好きは一流プロの麻雀教室に参加するでしょ?(鈴木)たろうさんの教室は毎週満員御礼だって。
ボクの現役時代の麻雀を見てた人も少なくなって来ているし、時代に付いていけないこともある。それで怒られちゃったこともあるけどそれも修業のうち。我慢、我慢です」
かつてのチームメイトであり親友でありライバルでもあった故・白鳥翔プロの話になると
「知ってます?1年目は僕の方が上だったんですよ?」と、おどけ
「翔ちゃんが生きていればって…歯がゆいですけど」
「今はもう現役に未練はありません。今度はクレープと麻雀教室で日本一になれるよう、がんばるだけです!」
(写真)当たり牌を手に持つ松本さん