現代ビジネス2021.12.30
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/91040

(略)
アンケートの結果によると倍速視聴を「よくする」「ときどきする」は66.5%、3人に2人は普段から動画を早送りで観ている。「あまりしない」も含めれば87.6%、実に9割近くが倍速視聴経験者だ。

先のクロス・マーケティングの調査では「20代全体の49.1%が倍速視聴経験者」だったので、それよりもかなり高い。青学のアンケート回答者(2〜4年生)はおおむね20歳前後、つまり「20代全体」の下限なので、「年齢が若いほど倍速視聴経験率が高い」傾向はありそうだ。

では、彼らはどんな動画を早送りしているのか。最も多いのは大学などの講義動画である。コロナ禍でリモート授業が増える中、録画型のオンデマンド授業は容赦なく早送りされる。その理由は「効率的に授業を受けられるから」が多かったが、「その方が集中して聞けるので、頭に入る」というものもあった。

実は大学教授には早口の人が多く、授業もかなりスピード感がある。それでも学生たちが早送りをするのは、彼らが“生身の人間が話す速度”にイライラするためかもしれない。早送りに慣れた大学生たちは、実際に人間が喋る速度にまだるっこしさを感じる。そのギャップを倍速視聴が埋めるのだ。

YouTuberによる企画動画も倍速視聴の定番だ。動画の中には、冒頭に「この動画は倍速でも視聴できます」といった断りを入れているものもある。

それゆえ、倍速視聴するメディアもYouTubeが圧倒的。YouTubeは倍速視聴との親和性が非常に高い。Netflix、TVer、ABEMAといった動画配信サーピスがこれに続く。なお、Amazonプライム・ビデオは倍速再生機能を公式に実装していないので、選択肢からは除外した。

講義や企画動画とは違う“物語コンテンツ”である連続ドラマ、映画、アニメシリーズなども、コンスタントに倍速視聴されている。話題の連続ドラマをいち早く押さえて友達との会話についていきたいが、視聴する時間がない。そんなときに倍速視聴が重宝される。

「あるドラマが周囲で盛り上がっていたので観始めたが、あまり面白いとは思えなかった。とはいえ大まかなストーリーだけはなぞっておきたかったので、倍速で最後まで観た。内容のみを頭に入れておきたいとき、早送りの方が時間効率が良いので適していると思う」
「周囲で話題になっている映画があったが、もともと興味のないジャンルの作品だったので倍速で視聴した。興味がないなら観なくてもいいと言われるかもしれないが、人付き合いの関係上、最低限の流行はおさえておく必要があるので仕方がない」

ただ、一口に倍速視聴と言っても、頭から終わりまでを丸々早送りするとは限らない。1本の作品内で、倍速と等速(通常スピードでの再生)を頻繁にスイッチしながら観る人も多い。

「あらかじめ作品のレビューを読んでおき、好きな俳優が出演しているシーンや評価の高いシーンだけを等速で観て、その他は倍速で観る」
「苦手な登場人物、興味のない登場人物、喋るのが遅い登場人物のシーンは倍速にする」
「Netflixの社会派作品を好んで観るが、興味があるのは社会的なメッセージであって表現方法ではないので、会話シーンは飛ばす。表現を楽しみたいのは、スタジオジブリ作品やいわゆる“名作”と呼ばれている映画」

倍速視聴した作品としてよく挙がっていたのが、アニメ『鬼滅の刃』(第一期・全26話、及び劇場版『無限列車編』)と、韓国ドラマ『イカゲーム』。『鬼滅の刃』については「原作コミックを読んでストーリーは全部知っていたので、原作の面白い部分だけを等速で観て、他は倍速で観た」「劇場版を途中まで観たが、あまり面白くなかったので、残りを最後まで倍速で観た」など。ここでも倍速と等速が使い分けられている。

『イカゲーム』の場合、倍速視聴のみならず“話(わ)ごと飛ばし”した学生もいた。「第1話から観始めたが、デスゲームものとしてはわりとよくある内容で、なんとなく話の流れはわかったので、3話まで観たところでそれ以降の話を飛ばし、いきなり最終話(第9話)を観た」

話ごと飛ばしは、それほど珍しい習慣ではない。筆者がヒアリングした別の大学の女子学生も、韓国ドラマ『愛の不時着』(全16話)を「早く結末を知りたかった」という理由で途中話を飛ばし、いきなり最終話を観ていた。ただ彼女の場合、最終話で結末を知って満足したので、改めて第1話から「2周目」を1話ずつじっくり堪能したという。

倍速視聴と併用されることも多い10秒飛ばしは、大学生にとって倍速視聴以上に「当たり前」の視聴スタイルだ。「よくする」「ときどきする」は75.8%、つまり4人に3人は普段から動画をスキップしている。「あまりしない」も足せば91.4%が10秒飛ばし経験者だ。
(以下リンク先で)