整理すると、よく言われる筋書きはこうです。岸信介は満州国で統制経済の中枢にいて、アヘン専売で生じた資金が関東軍や満州国の機密費に回った、というものです。実際、当時の満州国ではアヘンが重要な財源の一つで、岸がその経済運営の中枢にいたのは事実です。
Asahi Shimbun
2

そのうえで、「岸がアヘン情報をGHQに提供した見返りに不起訴・釈放された」という見方があります。戦後、GHQ内部では対日懲罰よりも反共を重視する流れが強まり、岸は巣鴨で接触を持ち、1948年に釈放されました。ここから「取引があった」と解釈されます。
hatenablog.com
2

ただし、アヘン利権そのものが東京裁判での無罪の直接原因だったと断定できる一次史料は、少なくとも一般に共有された形では強くありません。言えるのは、

岸が満州で重要な立場にいた
満州の財源にアヘンが絡んでいた
戦後の釈放は冷戦化とGHQ方針転換の影響が大きい
というところまでです。
Asahi Shimbun
2
つまり、「岸=アヘン利権の当事者」には一定の根拠があるが、「それで裁判無罪になった」は推測が混じる、というのが妥当です。