「幻創戦艦・大和」を敵として登場させることについて
「幻創種」と言うのは人の恐れや想像にエーテルが反応して具現化したものです。
『PSO2』において「地球」を舞台にし、「東京」を登場させると決めた際に、レイドボスを何にするか、という議論がありました。
その中では歴史上の人物や巨大な建造物など、いろいろな意見がありましたが、酒井には日本人にとって時を超えて大きな存在である
「戦艦大和」の姿を借りた「幻創戦艦・大和」以外には考えられませんでした。
アクションゲームにおいて、敵キャラクター=エネミーはすべてのプレイヤーが接する存在であります。
その中でも12人で倒す緊急クエスト用のレイドボスというのは『PSO2』においてはエネミーの中でもより大きな扱いとなる、普通のゲームであれば、「ラスボス」のようなものです。
「恐れや想像を具現化する」幻創種の集大成として、現在においても多くの人の憧れや畏怖の象徴であり、強大な力をもつ「幻創戦艦・大和」は適役と思います。
男の子は「強いものと戦いたい」と思うのは共通心理ではないでしょうか?
最強の戦艦と戦うのは夢の一つでしょうし、さらに「A.I.S」というロボットに乗って空中戦を繰り広げるなんて、真面目な歴史ゲームや、ファンタジーゲームにはできないことで、
なんでもありのSFゲームの世界でしか、『PSO2』でしかできないことです。だからこそ、「幻創戦艦・大和」を登場させたい、と思ったのです。
一方、まったく新たな姿とはいえ、「大和」という名称を含む敵と戦うことに対して抵抗感があるというご意見も頂戴しております。
上にも書いていますとおり、ゲーム中に登場する「幻創戦艦・大和」も零戦も乗組員は存在しませんし、ガワだけを模したいわばレプリカや巨大な模型に近いものです。
攻撃も常識では考えられないものですし、別の新たな物、という認識で開発をしております。
ゲームは幅広いエンターテイメントです。戦争についての問題や、歴史の重さを受け止めつつ、今回のエネミー化をエンターテイメントにおける表現の一つとして許容いただければ幸いです。
ここまで登場させるに至った経緯を書いてきましたが、「大和と名のつく戦艦を敵として登場させること」
「菊花紋章のままの戦艦に攻撃を加えること」について多くのご意見をいただきました。これまでの説明で私たちの想いにご理解をいただけた方もいらっしゃるかもしれません。
これまで、「戦艦大和への敬意を大切にして、新たな幻創戦艦・大和の姿を描きたい」という思いで準備を進めてきましたが、菊花紋章があることで
心情的部分にご納得いただけない方への配慮が足りなかった点について反省しています。
最終的に、ご意見をいただいた皆さんのお言葉を真摯に受け止め、ゲームをよりたくさんの方に楽しく遊んでいただくため、オープニングムービー、パッケージ、ゲーム内共に登場する
「幻創戦艦・大和」についている「菊花紋章をまったく別のデザインに変更する」ことといたしました。
ゲームの中だけの、戦艦大和とは異なる、新たな「幻創戦艦・大和」としてご理解いただきたいと考えます。
大和の他の軍艦とは一線を画すその機能的で美しい構造物とデザイン。
大鑑巨砲主義の最中、日本軍の希望として作られたのにもかかわらず、満足な働きをすることなく、沖縄への水上特攻により、その巨体を海中に没することとなった悲劇の戦艦。
しかしなにより、巨大で子ども心にも本当にかっこ良いその姿は、今昔を問わず男の子にとっての永遠の憧れではないでしょうか?
小学生のころから、大小の大和のプラモデルを作ったり軍艦に関する本を読み漁り、小学生時代の愛読書は「戦艦武蔵のさいご」という本でした。
小学校のお楽しみ会では大和の紙芝居を作ったこともありました。
大人になるにつれて趣味は別のものに移りましたが、大和への想いは消えてはいませんでした。
初めてセガに入った時に担当したソフトは「ワールドアドバンスド大戦略」。第二次大戦を題材にしたシミュレーションゲームでした。
大戦略シリーズとしては初めて、ユニットを3D化して戦闘シーンを描くということで、酒井は主に大日本帝国海軍の艦船をモデリングしていました。
もちろんその中には大和もあり、嬉々としてそのモデリングを行ったものでした。
大和は戦時中機密扱いだったこともあり、正確な資料が現在においても存在していません。
そして大和は竣工以来、改装によって何度かその姿を変化させています。
皆さんをワクワクさせる夢の対決を実現するべく、自分のこれまで得た知識を総動員して、「幻創戦艦・大和」のモデルについては監修いたしました。