日本経済は、一向に上昇する気配がなく、特にわれわれのような労働者の可処分所得は
下がる一方だが、国が全体として貧乏になれば、そのツケは末端のわれわれに回ってくる。

国が全体として富むためには、日本の場合、基礎研究がきわめて大切なはずだが、
その研究資金を削り続けたツケが、そろそろ回ってくる。すでに優秀な人材が科学者になる
道を諦め始めており、今すぐに大胆な手を打たなければ、今後何十年にもわたって、
日本の科学は空洞化してしまう。

国の借金を返済するために、さまざまな支出を削り始めたのが、小泉政権のとき。
基礎科学は「要らない支出」の筆頭だった。

その後の政権も、同じ方針で基礎科学に回る研究費を圧縮し続けた。それが、この国の
首を真綿で絞める政策であったことは、これから10年後、ノーベル賞受賞者がほとんど
出なくなり、特許も取れなくなって初めて、理解されるのだろう。

いま、われわれは亡国の坂道を真っ逆さまに転げ落ちている。

為政者は、めでたいめでたいという前に、本庶さん(そして、歴代のノーベル賞受賞者たち)の
警告に耳を傾けるべきであろう……。