ノーベル賞受賞の仏ウイルス学者「コロナは武漢研究所の人工操作」発言をどうみるべきか

 「今日は本番組独占の爆弾発言があります」と司会者、その爆弾を落とすのは、エイズウイルス(HIV)を発見して、2008年にノーベル生理学・医学賞を受賞したフランス人教授、リュック・モンタニエ氏である。
氏は、新型コロナウイルスは人為的なものであり、武漢の研究所でつくられたのだろう――と述べたのだ。
この時点で既に誤解があるが、氏はそれが事故で流出したに違いないと言っており、生物兵器など悪意であったのかという質問には、はっきり「ノン」と答えている。

 モンタニエ氏は、世界的に超有名な博士である。
1932年、フランスのシャブリ生まれ、87歳である。40歳くらいのときに、世界で名高いフランスの「パスツール研究所」で、新しいウイルス学部門の中に、ウイルス腫瘍学部局を設立した。
 
 以来、モンタニエ氏への賛辞は世界から贈られた。ノーベル賞を受賞する前から、世界各国の錚々たる団体から、賞が雨あられと授与された。
ラスカー医学賞(アメリカ財団)、シェーレ賞(スウェーデン)、ガードナー賞(カナダ)、ファイサル王医学賞(サウジアラビア)、ハイネケン医学賞(オランダ王立アカデミー)、 アストゥリアス皇太子医学賞(スペイン)・・・書いているとキリがない。
日本からは科学技術者に贈られる「日本国際賞」が授与された。授与式には天皇陛下ご夫妻や三権の長が出席する、最高峰の賞だ。

 反対する根拠は、主に二つあった。
科学的な反論、そしてこの人物に対する反論だった。

 しかし、筆者の見る限り、すべてのフランスの信頼に足るメディアは、この権威の言うことに対して、検証か批判をつけて記事を流していた。

 それでも、筆者が感じるのは、中国政府の陰謀だのアメリカ政府の批判だの、モンタニエ氏は関心がないのだ、彼の頭の中はエイズと人体の問題でいっぱいなのだろう――ということだ。

 たとえ世界の権威であろうとも、モンタニエ氏は私達と同じ、一人の人間だ。
7500万人のエイズに苦しむ患者から「エイズの権威」と見つめられ続けた博士は、そのことをどう受け止めてきたのだろう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20200422-00174202/