テレビを見る時、1 m の距離から見ても、3 m の距離から見ても、画面の明るさ感に差はありません。また、天井の蛍光灯に照らされた白い壁面を 1 m の距離から見ても、3 m の位置から見ても壁面の明るさ感は変わりません。これは、我々人間はテレビの画面や壁面に無意識的に眼のピントを合わせて見ているからで、その時の明るさ感は「輝度」で評価しているからなのです。
私たちは眼のレンズ(角膜と水晶体)を通して視界の像を網膜上に結像させて物を見ています。肉眼が感じる「明るさ」は、網膜上に分布する視細胞が光によってどれだけ刺激を受けるかによって決まります。視細胞が受ける刺激の量は、網膜の単位面積にどれだけの光束が入射するか、つまり、網膜面の照度によって決まります。
同じ光源(あるいは物体)でもそれが近くにある時の視角は大きく(立体角 ω1 )なりますので、光源(あるいは物体)から発して眼のレンズを通る光束も多くなりますが、網膜上に結像される像の大きさも大きくなります。つまり距離が近いほど光源(物体)は大きく見えます。逆に、光源(物体)が遠くなると、視角は小さくなり(立体角 ω2 )、光源(物体)から発して眼のレンズを通る光束も少なくなりますが、同時に網膜上に結像される像の大きさも小さくなります。(距離が遠いほど小さく見えます。)
照度は、「単位面積あたりに入射する光束」でした。結局、眼のレンズを通過する光束と像の大きさ(像倍率)が相殺し、網膜面の照度(単位面積あたりの光束)は光源(物体)の距離にかかわらず一定になってしまうのです。