>>6
>>人間の気配センサーは内耳と体毛?
>>内耳には、カタツムリの形をした「蝸牛(かぎゅう)」という器官があり、聴覚をつかさどっている。この中には"毛"の生えた細胞、つまり有毛細胞があり、外から入ってきた音を振動として捉え、電気信号に変えて神経に伝えている。そう、ここにもロレンチニ瓶と同様の有毛細胞があり、盛んに電気活動が行われているのだ。
>>「人体の中で一番電圧が高い組織は、この内耳。脳や心臓よりもはるかに高い電圧が常時生じています。私たちは、この内耳がロレンチニ瓶の名残ではないかと考えています」と滝口さんは話す。
>>ここで、冒頭の「気配」の話に戻ろう。つまり、この"毛"もあって、電圧も高い内耳こそが、人間においては準静電界を感知する器官ではないかと、滝口さんらは考えているわけだ。「世の中には、流星の音が聞こえたり、星が流れる気配が分かったりする人がいて、流星観察の場で重宝されています。ある調査では、大学生の約2割が聞こえたり、感じられたりするそうです。こうした人たちが、もし内耳で電界の変化を検知しているとしたら、音が聞こえることと、電界の変化を検知して気配を感じられることは、同様の現象だといえるのかもしれません」(滝口さん)
>>また、内耳以外に"体毛"も準静電界を感じやすいという。特に、細かい産毛は電気刺激に対して敏感だ。「総毛立つ」とか、「鳥肌が立つ」などという言葉があるが、気配を察知する力は一種、皮膚感覚に近いのかもしれない。滝口さんは、「産毛の多い子供や女性は、気配を感じやすい傾向がある」と話す。
>>ところで、ペットを飼っている人なら、犬や猫などの気配察知能力に驚かされるのではないだろうか。「うちのワンコ(あるいはニャンコ)は、自分が家に帰り着くちょっと前から、玄関で待っているようだ」といった話を耳にする。犬や猫も、飼い主の準静電界をいち早く感じ取っているのか。なかには、何メートルも離れたところにいる飼い主の気配を察知して、尻尾を振って待っていることもあるという。しかし、そんな離れた場所から、どうやって気配が分かるのだろうか。
>>「歩行時には、体にまとっている準静電界も一緒に動きます。また、片足を上げるたびに、地面との距離が離れることで、人の電位が増幅されます。つまり、じっとしているときよりも動いているときの方が、人が作る準静電界の変化が大きいのです。私たちの実験では、アスファルトの路面を歩いているときには、20〜30メートル先にまで、その電位の変化が伝わることが確かめられています」と滝口さん。
>>人の足踏みで準静電界が生じることを実験で証明
>>なるほど、だから犬や猫は飼い主が家にたどり着くかなり前から、その気配を察知できるのかもしれない。しかも、滝口さんによると「歩き方には人それぞれ、固有のパターンがある」という。ペットの犬や猫は、それを認識し、飼い主であると分かったうえで、玄関で待っている可能性があるわけだ。なんとも、いじらしいではないか!
>>"電気"が関わっているらしい。東京大学生産技術研究所機械・生体系部門特任准教授の滝口清昭さんによると、「私たちの体の周りには『準静電界』と呼ばれる"電気の膜"があり、それが気配の正体なのではないか」というのだ。