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この避けがたい残留エネルギーは、基底状態エネルギーあるいは零点エネルギーと呼ばれている。これには基本的にふたつの形態がある。ひとつは、この箱の例のように電磁場などの「場」に関係するもので、もうひとつは原子や分子のような個々の「物体」に関係するものだ。
場の振動を抑えることはできても、その存在の痕跡をすべて消し去ることはできない。また、原子や分子は、絶対零度に限りなく近づけたとしてもエネルギーを保持し続ける。いずれの場合も、根底にある物理学は同じだ。
零点エネルギーは、分子内の電場にとらわれた原子のように、少なくとも部分的に閉じ込められているあらゆる物質構造や物体に必ず生じる。この状況は、谷底に落ちて静止したボールにたとえられる。ボールの全エネルギーは、(位置に関連する)ポテンシャルエネルギーと(運動に関連する)運動エネルギーの和で求められる。両方をゼロにするには、位置と速度の両方に正確な値を与えなければならないが、それはハイゼンベルクの不確定性原理によって禁じられている。
零点エネルギーの存在がより深いレベルで何を意味するかは、量子力学のどの解釈を採用するかによって異なる。ただひとつ確実に言えるのは、多数の粒子を最もエネルギーの低い状態に置き、その位置や速度を測定すると、観測される値にばらつきが生じるということだ。