地下深くの空間は、長らく現代のワイヤレス通信技術が及ばない「電波の死角」であった。しかし、韓国の電子通信研究院…
2026年3月31日
https://xenospectrum.com/magnetic-induction-underground-wireless-communication-etri/
 前略
これまでの鉱山や長距離の地下トンネルにおいては、通信を確保するために物理的な有線ケーブルを張り巡らせるか、あるいは「Through-The-Earth(TTE)」と呼ばれる特殊な超低周波通信システムが用いられてきた。しかし、有線ケーブルは崩落事故などの災害時に容易に切断されてしまうという脆弱性がある。また、既存のTTEシステムは岩盤を貫通させるために膨大な電力を必要とし、地上には巨大な送信アンテナ設備を構築しなければならず、迅速な展開やモバイル運用は事実上不可能であった。
 中略
ETRIの研究チームは、電磁波の「放射(Radiation)」を利用するという従来の無線通信の概念を捨て、磁場の「誘導(Induction)」を利用するというアプローチへの発想の転換により、この難題の解決を図った。彼らが開発に成功した「磁気場地下通信ソース技術(Magnetic field underground communication source technology)」の核心はまさにここにある。
電界と磁界が相互に連鎖しながら空間を飛んでいく放射性の電磁波とは異なり、磁気誘導技術は、送信側のコイル(アンテナ)に電流を流すことで周囲に「近傍磁場」を発生させる。そして、その磁場の変動を離れた場所にある受信側のコイルで感知し、電磁誘導の法則に従って再び電気信号に変換してデータを読み取るという仕組みである。原理としては、スマートフォンのワイヤレス充電器や交通系ICカードのタッチ決済で使われているものと同じだが、ETRIの技術はそれを前例のないスケールと距離で実現した点に圧倒的な革新性がある。