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二次元遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)の一種である二セレン化モリブデン(MoSe2)は、わずか原子数個分という極薄の単層(モノレイヤー)構造を持つ半導体である。この物質に特定の波長の光を照射すると、電子がエネルギーを吸収して励起され、元の場所に正孔(プラスの電荷を帯びた穴)を残す。この電子と正孔が静電気力で引き合い、ペアを組んだ状態を「エキシトン(励起子)」と呼ぶ。
研究チームは、このMoSe2モノレイヤーを光を閉じ込める極小の部屋、すなわち光学キャビティの中に配置した。キャビティの中に光子を放ち、その光子がMoSe2に吸収されてエキシトンを生み出す。そしてエキシトンが再び消滅して光子を放出する。この「光子からエキシトンへ」「エキシトンから光子へ」という変換が、光子がキャビティから逃げ出すよりも圧倒的に速い速度で繰り返されると、量子力学的な強結合状態が生じる。光子でもエキシトンでもない、両者の性質を完全に併せ持つ新しい準粒子「エキシトンポラリトン」の誕生である。