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研究チームは患者さんの同意のもと、「どのみち取り除く予定の組織です。手術の直前の数十分だけ、研究のために脳の活動を記録させてください」と申し出ました。
健康な人にはとても頼めない実験が、この特殊な事情だからこそ実現したわけです。
記録に使われたのは、「ニューロピクセル」というごく細い針のような装置でした。
髪の毛より細い針の表面に、384個もの電極(電気信号を拾うセンサー)がびっしりと並んでいます。
どれくらい高性能かというと──従来の脳波計が「満員の劇場の外から、ざわめきだけを聞いている状態」だとすれば、ニューロピクセルは「劇場の中に入って、観客ひとりひとりの声を録音できる」くらいの違いがあります。
脳の細胞(ニューロン)がひとつずつ発する微かな電気信号を、別々に聞き分けられるのです。
この装置をヒトの海馬に挿入したのは、これまでに例のない試みでした。