>>◆2:神経系の混乱
>>研究者たちは精神疾患などの治療の一環として、患者の脳に電流を流すことがあります。この際、脳の側頭葉と頭頂葉が接する側頭頭頂接合部という領域に微弱な電流を流すと、被験者から「誰かが近くにいるような感覚がする」「自分の動きをまねしたり模倣したりする誰かがいる」「自分の体から意識が離れる体外離脱を経験した」といった報告が寄せられる場合があるとのこと。
>>実験的証拠から、側頭頭頂接合部は「自分が体の中に存在している」という感覚にとって極めて重要だと考えられており、この脳領域の機能を阻害すると意識が体から切り離されたように感じるとみられます。神経科学者らは、身体感覚が脳でどのように構築されるのかを完全には解明していませんが、おそらく脳はバランス感覚や位置感覚といったものを、自己意識や主体性といったほかの内部プロセスと統合していると考えられます。この統合が崩れると、人々は奇妙な感覚を経験することになるだろうとマフェオ氏は指摘しています。
>>神経系の混乱によって生じる体験のひとつに、医学的には睡眠まひと呼ばれる「金縛り」があります。最も鮮明な夢を見るレム睡眠中の脳は体が夢の内容に反応して動いてしまわないように、身体の骨格筋の動きを抑制する信号を送っています。しかし、中にはレム睡眠中に目が覚めて「体が動かない」と気付き、それと同時に夢の影響で鮮明な幻覚を見る人もいます。この時間は決して長くありませんが、骨格筋の動きが抑制されることで身体と脳のフィードバックに不一致が生じ、失われた感覚情報に恐怖を感じて「金縛り」を経験する人もいるというわけです。