>>114に加えて下記が生じている
続けるだけでは意味がない。研究が示す「成長できない人の条件」
公開日2025.05.24 00:00:00 SATURDAY
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/177845
実際の臨床現場では、ある心理療法士のクライアントの改善度が、別の心理療法士と比べて一貫して高いとは限らず、「優秀な心理療法士とは何か」というのが曖昧でした。
またいくつかの小規模な研究では、経験年数と治療効果に一貫した結果が得られておらず、経験豊富なベテラン心理療法士ほど効果的な治療が出来る、という考えについて疑問がでていました。
中略
アメリカ国内の5つの医療施設から6,591人の患者と170人の心理療法士を対象に、治療の前後で患者の心理的症状がどれだけ改善したかを「d値(Cohen’s d)」という統計指標を用いて分析しました。
すると驚いたことに心理療法士は経験年数が増えても、患者の改善効果はほとんど向上していなかったのです。むしろ、ごくわずかに効果が下がる傾向すら見られました。
中略
心理療法士だけに起きる問題ではありません。
別の研究では教育の現場でも、似たような課題があることが報告されています。
中略
ハーバード大学の経済学者ジョナ・ロックオフは、2004年の研究で、ニュージャージー州の小学校教師と約1万人の生徒の標準化テストのデータを用いて、教師の経験年数と生徒の成績向上の関係を調査しました。
この研究では、教師ごとに「その年度に担当した生徒のテストスコアが1年間でどれだけ伸びたか」を測定し、その「伸び」に教師の経験年数がどう関与しているかを統計的に分析しました。
結果として、教師の効果(生徒の成績向上への貢献度)は1〜3年目で急速に伸びるものの、それ以降はほぼ横ばいになることが示されました。つまり、初期の数年間で指導技術は向上するものの、継続的な経験だけでは、それ以上の上達や効果の増加は期待できないというのです。
中略
重要なのは、経験を重ねたからといって、その差が縮まるとは限らないという点です。つまり、教師Aが5年、10年と継続して教え続けても、必ずしも教師Bの水準に近づくわけではないということです。
中略
手術を行う医師や、コードを書くソフトウェア開発者、演奏する音楽家といった「経験が技術の上達に直結しそうな職業」ではどうでしょうか。一見、こうした分野では「続ければ続けるほど上達する」という常識が当てはまるように思えます。
ところが、これらの分野においても、単に経験年数を重ねただけでは、むしろ問題が起きるという研究報告があります。
外科医の世界では、実際に手術を行う経験によって技術が磨かれるのは事実です。複数の研究で、手術件数が多い外科医ほど、患者の回復率が高く、手術にかかる時間も短くなるという結果が出ています。
しかし、ここにも大きな落とし穴があります。
2005年に『Annals of Internal Medicine』という医学誌に掲載された研究(Choudhry et al.)では、医師の卒業後の年数が増えるにつれて、最新の治療ガイドラインを守る割合が低くなることが示されました。
「治療ガイドライン」とは、様々な報告に基づいて「この病気にはこう治療すべき」という情報が共有されたものです。
若い医師は当然、最新の研究結果やガイドラインを学んでいるのでこれらを積極的に治療に取り入れます。