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八木健治

西洋文明ではかつて物を書き留めるために羊の皮を非常に薄くした羊皮紙というものを使っていました。それは現代でも作られているようです。
主に西欧の古文書で羊皮紙と言うものを使ったものが多いということは聞いたことがありました。
しかしその実際についてはほとんど知らなかったのですが、それを紹介するこの本を読んでみると、面白いものだということが分かります。

著者の八木さんは歴史学者や研究者ということではなく、実際に羊皮紙を販売ということまでしているということです。そのためか、現在でも羊皮紙を作り続けている世界の職人を訪ねた話というものも紹介されています。
この「羊皮紙の作り方」というものも興味深いものでした。

羊皮紙が生まれたと言われているのが、紀元前2世紀のペルガモン、現在はトルコのペルガモというところだそうです。
そこには今でも羊皮紙つくりの職人が作り続けていて、著者はそのイスマイル・アラチさんを訪ねてその製法を見せてもらいます。
羊皮紙といっても使われている皮は羊の他に仔牛、ヤギがあるそうで、地域的に仔牛はドイツなど北方、ヤギはイタリアやビザンツ、そして羊がその他の地域だそうです。

羊の皮をまず徹底的に洗浄し、その後消石灰に漬けて毛を落とし、その後は尖刀という刃物で繰り返し削っていくのだそうです。
削って乾かしということを何日も繰り返し、一カ月ほどかかってようやく完成。
羊1頭から取れるのがおよそ60㎝×45㎝でほぼA2サイズです。
したがって価格もかなりのものとなり、1頭分で約1万2千円、A4サイズで一枚約3000円とか。

そのような高い羊皮紙ですから、中世にこれに元の本を写して写本を作る際にも細心の注意をして字を書いていたのですが、それでもどうしても書き損じが出てしまいます。
そういう時にどうするかと言うと、数文字程度だったらナイフで削って書き直したそうです。
それでも一文章全部間違いとなるとそうもいきません。そのために中世の写本では文字を書くのは中央の一部分だけにして周囲は全部余白とし、もしも何行も書き換える場合は訂正線を引いて外側に書き込んだということです。

https://www.honzuki.jp/book/363302/review/328357/

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掲載日:2026年07月01日