これまでの社会的ネットワークに関する脳科学研究では、友人の数やネットワーク上での中心性、誰と誰がつながっているかといった「つながりの構造」に注目した研究が数多く行われてきた。一方で、実際の人間関係は単なるつながりの有無ではなく、友好、信頼、協力、競争、対立、敵対といった感情的な意味を伴う。

特に敵対関係は、集団内の力関係や行動の予測に大きく影響する。例えば、物語の人物相関図では「誰が味方か」だけでなく「誰が敵か」が、展開を理解する重要な手がかりになる。しかし、このような敵対や友好という関係の質が、脳内でどのように表象されるのかは十分に解明されていなかった。そこで研究チームは今回、友情、ライバル関係、恋愛、利害対立が入り組んだテレビドラマを用いて、ヒトが自然な物語体験を通じて形成する人間関係の脳内表象を調べたという。