一般的な核反応実験では、加速器で加速した酸素イオンなどを入射して標的の原子核に衝突させ、標的を励起させる。これまで0-状態を励起するには、主に入射粒子から標的原子核へスピンを受け渡す手法が用いられてきた。しかし、この方法では多様なスピン・パリティを持つ励起状態が同時に生成されるため、0-状態が他の状態に埋もれて判別困難になる点が大きな課題だった。
そこで今回の研究では、0+状態の酸素の安定同位体「16O」のイオンが、0-基底状態のフッ素の放射性同位体「16F」のイオンへ変化する際に生じるパリティの変化を、標的原子核へ受け渡す新手法「パリティ移行核反応」が考案された。同反応では、標的原子核側でもパリティが変化する励起状態が優先的に生成されるため、0-状態を直接的に励起できる。さらに、生成される励起状態の種類も制限されるため、標的原子核内の0-状態をより選択的に観測することが可能とされた。