光の反射問題に対するエレガントな解決策として2000年代から研究されてきたのが、トポロジカル絶縁体の概念を応用したトポロジカルフォトニクスである。元来、トポロジカル絶縁体とは、物質の内部(バルク)は電気を通さない絶縁体でありながら、その表面や縁(エッジ)にだけ電気が流れる特殊な状態を指す。物質の幾何学的な性質によって導電性が守られているため、表面に多少の欠陥があっても電子は迂回して進むことができる。
基礎物理学の概念を光の領域に持ち込むと、物質の内部は特定の周波数の光を通さない「光の絶縁体」となり、物質の境界線に沿ってのみ光が伝わるようになる。境界を伝わる光は、トポロジカル保護と呼ばれる幾何学的な性質に守られている。そのため、導波路の途中に欠陥があっても光は決して後方へ散乱せず、障害物を滑らかに回り込んで一方向に進み続けることができる。
トポロジカル保護は完全無欠に見えるが、重い代償を伴っていた。光を一方向に導くエッジモードを作り出すためには、その両側を広大な光の絶縁層(クラッド層)で挟み込まなければならない。エッジモード自体は非常に狭い領域に局在しているのに対し、周囲の大部分の素材は光を遮断するためだけの「死んだ空間」として場所を塞いでいた。従来型の構造では、幅数マイクロメートルの光経路を確保するために、その周囲に数十マイクロメートル幅にも及ぶ絶縁体領域を配置する必要があり、チップ面積の大部分(時に90%以上)が無駄なクラッド層として占有されるという深刻な空間効率の悪さが存在したのである。
香港科技大学のXiaohan Cuiは、従来の設計について「伝播モードは界面に強く局在し、周囲の絶縁材料の大半はクラッド層として不活性なまま残されていました」と指摘する。回路のエラー耐性を高めようとすればするほど、実際に光をルーティングできる有効面積が狭くなる。空間効率と堅牢性の間には、容易には越えられない根深いトレードオフが存在していたのである。このジレンマの克服こそが、次世代の光集積回路を現実のものとするための最重要課題であった。