銀河M87の中心部にあるブラックホール。撮影画像はブラックホールの理論とよく整合しているため、ブラックホールの代わりとなる天体は、ブラックホールとよく似ている必要があります。(Credit: Event Horizon Telescope)
質量を持つ全ての物体は、重力によって1点に潰れようとする力が働いています。この現象は「重力崩壊」と呼ばれています。これを防ぐには、重力に対抗する力が必要です。惑星サイズまでの物体ならば、原子同士の電気的な反発で半永久的に形を保ちますが、恒星サイズになると事情が変化します。

恒星は中心部で起こる核融合反応で輝いていますが、核融合反応で生じるエネルギーは重力に反発する圧力としても作用しています。しかし、恒星の核融合反応はいつかは止まってしまい、その時点から恒星は重力崩壊を始めます。

重力崩壊がもたらす運命は、恒星が元々持っていた質量によって決まります。恒星の質量が太陽の20倍以下の場合、「縮退圧」と呼ばれる特殊な力が発生し、これが重力と釣り合うため、崩壊が停止します。しかし太陽の20倍以上の恒星の場合、縮退圧でも重力崩壊を防ぐことができません。縮退圧の他に重力崩壊を防ぐ術は知られていないため、本当に1点に潰れてしまうと予想されています。このようにして誕生するのが「特異点」であり、特異点を囲む時空の特定の領域が、良く知られている「ブラックホール」という天体です。