パターンのねじれを確認したチームは、さらに一歩踏み込み、光の波そのものの回転に対する応答を調べた。光には、電場の振動面が進行方向に沿って右回りまたは左回りに螺旋を描く性質があり、これを円偏光のヘリシティと呼ぶ。
研究チームを率いた森竹勇斗准教授は、「カイラルな構造である以上、円偏光への依存性は禁止されていないはずだ」と考え、この実験に臨んだ。最初の試みでは違いを見出せなかったものの、より高感度なカメラを導入することで、ついにそのわずかな差異を捉えることに成功した。左回りの円偏光を入射したときと、右回りの円偏光を入射したときで、特定の回折ピークの明るさがはっきりと異なったのだ。
ここで注目したいのは、従来の代表的な構造との定量的な対比である。グラフェンに代表されるハニカム(蜂の巣)格子のような完全な周期構造では、入射する光の回転方向による強度差は生まれない。また、ペンローズタイルのような従来の準結晶構造の多くも、本質的に鏡映対称性を内包しているため、円偏光に対する顕著な非対称応答を示すことはない。しかし、このモノタイル準格子では、鏡像関係にある構造体との比較において、回折ピークの強度分布が円偏光のヘリシティに依存して完全に入れ替わることが確認された。従来の材料科学では、このような光学応答は三次元的なねじれを持つ分子(例えばDNAの二重らせん構造など)で主に議論されてきたが、それを純粋な二次元平面上の幾何学的な「点配列の秩序」だけで生み出した点に、この研究の革新性がある。