「微かな」ニュートリノ振動        〜 原子力発電所のニュートリノを捉えるKASKA 〜
2005/04/21
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>>東京大学宇宙線研究所のスーパーカミオカンデのグループが1998年に「大気ニュートリノ振動」の現象を発見して以来、日本のニュートリノ研究は世界の最先端を走っています。ニュートリノには「電子型」「ミュー型」「タウ型」の三種類があって、それぞれの間で振動が起きていると考えられていますが、このうち「電子型」と「タウ型」の間の振動についてはまだ詳しく調べられていません。
>>新潟県柏崎市と刈羽村にまたがる世界最大の原子力発電所(図1)で発生するニュートリノを使って、この「最後のニュートリノ振動」を調べようとしている実験についてご紹介しましょう。
>> 三種類のニュートリノ振動
>>ニュートリノには電子型ニュートリノ(νe)、ミュー型ニュートリノ(νμ)、タウ型ニュートリノ(ντ)の3種類があります。ニュートリノに質量があると、ある種類のニュートリノがいつのまにか別の種類のニュートリノに変化してしまうという「ニュートリノ振動」については以前ご紹介しました。ニュートリノ振動が起きるニュートリノの種類の組み合わせも、「電子型⇔ミュー型」、「ミュー型⇔タウ型」、「電子型⇔タウ型」の3種類があります。
>>それぞれの振動の大きさは「混合角」という角度で表されます。このうち、ミュー型⇔タウ型、電子型⇔ミュー型の混合角はスーパカミオカンデ実験や、K2K実験、カムランド実験、様々な太陽ニュートリノ観測などですでに測定されています。しかし3つめの振動である電子型⇔タウ型の混合角は、その大きさが小さいことが分かっているだけで、値はまだ測定されていません。
>>図2は原子炉から発生する反電子型ニュートリノが他の種類のニュートリノに振動する様子です。原子炉からのニュートリノ振動には、50km以上で顕著になる振動(電子型⇔ミュー型)と数km以上で顕著になる振動(電子型⇔タウ型)の2種類があります。50km以上の振動は東北大学などが行っているカムランド実験によって検出されましたが、電子型⇔タウ型によって引き起こされると考えられる数kmの小さな振動は、まだ検出されていません。この図では電子型⇔タウ型の混合角を約9度と仮定しています。
>>原子炉から平均0.4kmと1.8kmの距離にニュートリノ検出器を置き、反電子ニュートリノの数がこの間を飛行するうちにどれだけ減るかを調べることで、この振動の強さを精度良く測定しようとしているのがKASKA実験です。
>>KASKA実験とは
>>KASKA実験では、新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所から発生する膨大な数のニュートリノを利用します。この発電所には、強力な原子炉が7基あり、合わせて820万キロワットの電気を発生しています。これは世界で最大の発電量です。原子炉の中では、ウランなどが核分裂反応をしており、その過程で反電子ニュートリノ(電子ニュートリノの反粒子)が生成されます。発生するニュートリノの量は原子炉のパワーにほぼ比例するため、柏崎刈羽原子力発電所は、世界で最強のニュートリノ発生装置といえます。