謎多き「大質量連星の誕生プロセス」解明へ前進 アルマ望遠鏡などの観測結果解析で
掲載日  2026/09/14 15:05
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20260914-4966600/
天の川銀河において、恒星の多くは太陽のように単独ではなく、連星として誕生する。中でも大質量星の多くは、連星系を形成していることが少なくない。しかし、既知の大質量連星系は誕生から長時間が経過したものが多く、その形成過程を再現することが困難なため、大質量連星系がどのようなプロセスを経て誕生するのかは未解明のままだった。
そうした中、アルマ望遠鏡で8年近く追跡観測した、成長途中の大質量原始星を2つ含む星形成領域「IRAS 07299-1651」を国際共同研究チームが調べたところ、2つの大質量原始星が細長い楕円軌道で公転し、さらにガス円盤の角度が大きく傾いていることが判明。2つの星は1つのガス円盤からの誕生ではなく、成長途中に近接遭遇して重力的に結合した可能性が高いと、国立天文台(NAOJ)が9月8日に発表した。これまでで最も詳細な形で、大質量連星の形成過程における三次元構造を解明することに成功した。
円内は、アルマ望遠鏡により波長0.9mmの連続波で観測された、「IRAS 07299-1651」に存在する連星系(再現された軌道線が描かれている)。それぞれの星を囲む電離した星周円盤の回転方向が、ドップラーシフトによって赤方/青方偏移した水素の再結合線で捉えられており、矢印は双極方向に噴き出すジェットの向きを示す。背景は、JWSTが撮影した同領域の3種類の中間赤外線を合成した擬似カラー画像。クレジット:NASA, ESA, CSA, STScI, Joseph DePasquale (STScI), ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Yichen Zhang (出所:アルマ望遠鏡日本語Webサイト)
円内は、アルマ望遠鏡によイーチェン・チャン副教授、東京科学大学 理学院 地球惑星科学系の田中圭助教らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系の天文学術誌「Nature Astronomy」に掲載された。
大質量星は恒星進化や重元★素の供給に大きな影響を与えるため、天文学や天体物理学においてきわめて重要な研究対象だ。特に、大質量星は近接した連星系を形成することが多い。研究チームは今回、その形成メカニズムを解明するため、ガスが降着して成長中の大質量原始星を2つ含む星形成領域「IRAS 07299-1651」に注目した。
今回の研究成果
研究チームは過★去にも、アルマ望遠鏡を用いて分子雲に深く埋もれたこの若い連星を検出しており、力学的な性質を調査していた。当時の結果は、大きなガス円盤の分裂によって近接連星が形成される従来の描像と概ね一致していたとする。しかし、それぞれの原始星を取り巻く円盤の向きが一致していないように見えた点が、そのシナリオでは説明しにくい疑問として残されていた。
そこでさらなる★調査として、アルマ望遠鏡ならではの高い角分解能と位置決定精度を活用する、2つの星の微小な固有運動を測定する長期観測計画が立案された。
8年近くにわた★る観測をつなぎ合わせた結果、星の軌道運動を示すわずかな位置変化が捉えられ、形成途上にある2つの大質量星が互いに公転している様子が初めて観測された。