金星は「死んだ惑星」ではない、地殻活動が継続中の可能性 研究結果
9/14(月) 14:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/845e1b87d8dde5839f723226312116d6e0b47756
金星の地形を示した半球画像。NASAの無人探査機マゼランの観測ミッションを中心とする10年間に及ぶレーダー観測データを元に作成(NASA/JPL/USGS)
地質学的に「死んだ惑星」だと考えられてきた金星で、いまだに地殻活動が続いている可能性を示す新たな証拠が見つかったとする研究結果がこの夏、発表された。研究チームは、金星の巨大な地溝帯ははるか昔の地殻変動の名残にすぎないとの従来説に異議を唱えている。
【画像】金星の地表の眺め
金星の地表はすべて約5億年前にできたとされる。これは主に、地球に見られるようなプレートテクトニクス(地表を覆う岩盤の運動)が存在しないためだ。この事実は、太陽系第2惑星である金星が地質学的に休眠状態にあることを示唆している。
しかし、科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに今年7月に掲載された論文によると、新しい高解像度のコンピューターシミュレーションを用いて金星の地溝帯の形成・進化の過程を再現したところ、地溝帯の一部は地質学的に若く、現在も活動しているか、ごく最近になって活動を停止した可能性があることがわかった。
この発見は、地球の姉妹惑星である金星の今後の探査ミッションにおいて、詳細な調査を行うべき地域の特定に役立つ可能性がある。
■金星の地溝帯はまだ活動中かもしれない
★惑星の大きさや組成が地球と似ているにもかかわらず、金星は地質学的にほぼ休眠状態にあると考えられてきた。だが最近、活発な火山活動の証拠が見つかり、従来のイメージが変わりつつある。
地溝帯は、惑星の地殻が引き延ばされて裂け目が生じることで形成される。金星には巨大な地溝帯が複数あり、最長1万kmに及ぶものもある。これまで科学者たちは、これらが1億年以上前に形成されたとみていた。今回の新しい研究により、その一部がはるかに若い可能性があることが示唆された。
★■新しい3Dモデルが明らかにした金星の地殻活動
★研究チームは、地溝帯の高解像度3次元モデルを用いたシミュレーションを開発し、形成過程を再現した。すると、地質学的に若い地溝帯では、地殻活動がまだ活発なうちに、広い尾根のような隆起地形が形成されることが示された。モデルはまた、金星の地溝帯が年間約3〜10cmの速さで広がっている可能性や、地殻変動が停止すると隆起が沈下することも示した。
金星は今まさに見ごろ、まもなく最大光度に
■将来の金星探査ミッションでの観測調査に期待
★現在、米航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)がそれぞれ金星探査ミッションの準備を進めており、金星への関心は高まっている。今回のシミュレーションを行った研究者らも、2030年代初頭に打ち上げ予定のESAの「EnVision(エンビジョン)」計画に参加している。このミッションでは金星の内部構造から上層大気までを包括的に観測調査することを目指しており、今回のシミュレーション結果は、探査機が詳細な調査を行う候補地として地殻活動が継続している可能性のある地溝帯を特定するのに役立ちそうだ。
金星の地殻変動について解明することは、太陽系だけでなく系外の岩石質惑星の形成・進化をより深く理解するうえで極めて重要となる。
■金星は今、地球に接近中
現在、金星は地球に接近しつつあり、これに伴って三日月状に欠けている。日没後の西の空に輝く「宵の明星」として明るさを増しており、9月19日に最大光度を迎える。地球に近づくほど光っている部分の形状が細くなるのは、金星が地球よりも内側を公転している内惑星だからだ。22日以降はますます陰の部分が大きくなり、明るさは弱まっていく。
10月24日には太陽と地球の間に位置する「内合」となり、太陽光のまぶしさの中に隠れてしまうが、その後は一転、夜明け前の空に今度は逆向きの三日月状の姿を現し、「明けの明星」として明るく輝くことになる。