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海綿動物の一種、ホソエダカニノテの胚。ここから幼生となって海に泳ぎ出す。Image credit:Adamska et al. / PLoS ONE / CC BY 3.0
日没を合図にDNAを事前準備する仕組み
 2020年の研究で、海綿動物、ホソエダカニノテの幼生は日没を経験しないと、どんなに条件の良い藻類(サンゴモ)が近くにあっても決して定着しないことが判明していた。
 新たな研究では、日没が海綿動物の幼生に対して変態の「用意」を前もって伝える決定的な合図であることが示された。
 幼生がまだ海中を自由に泳ぎ回っている段階で、日没の暗さを感知するとDNAの一部に変更が加えられる。
★研究チームは、DNAのどの部分が読み取れる状態になっているかを調べる技術を用いて、変態前と変態中の遺伝子の状態を分析した。
★その結果、定着や変態に関わるDNA領域が、実際に遺伝子のスイッチが入るずっと前の段階で「アクセス可能(読み取り可能)」な状態になっていることがわかった。
 これはオーケストラの演奏が始まる前に、楽譜の中の演奏する箇所にあらかじめマーカーで線を引いておくような周到な準備作業である。
★一方、日没を経験させずに光を当て続けた幼生では、読み取れる状態になっていたDNA領域の88%が閉じてしまい、変態に関わる遺伝子の働きも抑え込まれていた。
 日没を逃した幼生が定着できなくなるのは、この事前準備が失われるためである。