>>//反陽子を作る場所と測定する場所を分ける
>>CERNの反物質工場は、低エネルギーの反陽子を精密実験へ供給する拠点である。一方で、加速器などの大型設備が稼働することで、周囲の磁場にはわずかな変動が生じる。
>>反陽子の運動やスピンの周波数を高精度に測定する実験では、基準となる磁場の揺らぎが測定精度を制限する要因になる。そのため、反陽子を生成するのに適した場所と、極めて高精度な測定を行うのに適した場所が必ずしも一致しない。
>>BASEが調べているのは、陽子と反陽子の電荷・質量比や、粒子の磁気的性質を表す磁気モーメントなどである。
>>こうした比較は、粒子と反粒子の交換、空間反転、時間反転を同時に行っても物理法則が変わらないという「CPT対称性」を検証する手段になる。
>>もし陽子と反陽子の性質に標準模型の予測を超える違いが見つかれば、新しい物理の手掛かりとなる可能性がある。
>>宇宙に反物質ではなく物質が多く残った理由を理解することも、こうした研究の大きな動機の一つである。
>>ただし、今回の輸送実験で陽子と反陽子の新たな違いが発見されたわけではない。反陽子を磁場雑音の小さい実験室へ運べるようにすることで、将来の測定感度を高めることが目的である。