2026年10月12日 09:45

 犬は人間の数千倍から数億倍とも言われる、優れた嗅覚を有している。警察犬はこの高度な能力を生かして犯罪捜査(足跡追及など)に従事しているほか、被災現場で行方不明者の捜索にあたる災害救助犬として活躍するケースもある。言うまでもなく、警察犬を管理、運用しているのは各都道府県警察だ。

 一方、空港や港湾などの税関で活躍する「麻薬探知犬」は財務省が管理、運用しているが、近年は一部の都道府県警察が独自に麻薬探知の訓練を行った警察犬を保有、運用しているケースもある。ただし、その数は極めて少ない。

 麻薬探知犬は覚醒剤、大麻、ヘロイン、コカイン、MDMA、フェンタニルなど、訓練によって6~8種類の異なる麻薬の臭いを正確に嗅ぎ分けることができる。
 通常、ハンドラー(指導員)と呼ばれる税関の職員とともに活動しており、空港などで麻薬の臭いを嗅ぎつけると、カバンの前で座ったり伏せたりして合図を送る。これはパッシブ・アラートと呼ばれる合図の方法で、国際郵便物などの場合は荷物を前足でガリガリ引っ掻くことで激しくアピール(アクティブ・アラート)する。

 実は麻薬探知犬の「行く末」をめぐっては、かねてより以下のような都市伝説が、まことしやかに囁かれてきた。
「最後は重度の麻薬中毒に陥って、ヨダレを垂らしながら悶絶死する」
 このような凄惨な末路が事実だとすれば、麻薬探知犬の運用そのものが人道的、否、犬道的に許されないのではないか、という話になってくる。

 そこで首都圏のとある県警から警察犬の訓練や管理を委託され、要請があれば実際の犯罪捜査に同行出動している民間の訓練士に、コトの真相を確かめてみると、
「麻薬探知犬が麻薬中毒になることはありません。この手の都市伝説はデマの類です」
 そう断言した上で、次のように語気を強めるのだった。
「麻薬探知犬は空気中に漂う極微量の匂い分子を嗅ぎ分けているだけで、麻薬の成分そのものが探知犬の体内に取り込まれることはありえません。体内に摂取されない以上、麻薬中毒になること自体が不可能なのです」

https://www.asagei.com/excerpt/349876?page_type=show

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