コードネームはKYOTO

コンパクトで、個性的で、エレガントなスマートフォンを作ろうと思い立ちました。
私は自分で線を描きはじめ、十数年ぶりにデザイナーに復帰しました。最初に考えたのは、
背面は曲面で構成されているべきだろうということ。
年中持つものが、どのような形状をしているべきか、力を抜いた時の私たちの手のひらを観察すれば
明らかです。一方で、スマートフォンの表の面はガラス。この平面から、いかにして曲面に切り替わっていくのか。
京都のお寺にあるような、くり抜かれた石に水が張られた情景を思い浮かべました。
緊張感のある水面が有機的な形状に包まれている様ですが、
それをどうやって、この小さな世界で表現すればいいのでしょうか。

開発コードネームが「KYOTO」と名付けられたデザインの旅は、1年に及ぶことになります。
その間に、手作りで丹精こめて作ったデザインモックアップは80個以上。
このままではダメだと思う一週間を過ごし、週末に解決策を思いつくことが何度もありました。
中でも、ディスプレイの外形をわずかな曲線で構成するという案はデザイン上のブレイクスルー。
BALMUDA Phone のデザインには、直線が一箇所もありません。
途中からエンジニアリングが併走し始めると、今のままでは数々の部品が入らないことが分かり。
目指した緊張感と優雅さを保ちつつ、どうやったら体積を増やすことができるのか。。。
クイズの連続です。

これらをクリアしてできあがったのが、BALMUDA Phone。

今の私たちにできる最良のデザインです。デザイン作業をする度に思うことは、
それは創作というよりも、探索に近い、ということです。つまり、宝探しのようなもの。

どこかにあるはずのお宝を求めて、彷徨う私たちデザイナーは永遠の迷子なのでしょう。

                                チーフデザイナー 寺尾 玄