なあ、加藤さんと食事するときはいつもマックやな。
一番最初、加藤さんと飯食ったときからそうやったよな。
ワイが貧乏大学生で、あんたが月40万稼ぐ医療従事者だったとき、
おごってもらったのがマックやったな。
「俺は、毎晩こういうところで飯食ってるぜ。金が余ってしょーがねーから」
加藤さんはそう言って笑っとったな。

俺が大学出て入社して初任給15万だったとき、加藤さんは月50万稼ぐんだって胸を張っとったよな。
「毎晩残業で休みもないけど、金がすげえんだ」
「職場から毎日タクシーで帰って配信してんだよ」
「上司も、お母さんが権力者の俺に頭上がらないんだぜ」
そういうことを目を輝かせて語っていたのも、マックやったな。

あれから3年たって今、こうして、たまに加藤さんと食事するときもやっぱりマックや。
ここ何年か、こういう安い飯屋に行くのは加藤さんと一緒のときだけや。
別に安い店が悪いというわけやないけど、ここのハンバーガーは色付の粘土みたいなもん。
油の悪い、不衛生なポテトは、毒を食っているような気がしてならない。
なあ、別に女が居る店でなくたってええんや。
もう少し金を出せば、こんな残飯でなくって、本物の酒と食べ物を出す店をいくらでも知っているはずの年齢じゃないんですか、32歳は?
でも、今の加藤さんを見ると、あなたがポケットから取り出すくしゃくしゃの千円札三枚を見ると、俺はどうしても「もっといい店行きましょうよ」って言えなくなるんや。
あんたが前の仕事辞めてタレントになったの聞きましたよ。あんたがくっちゃべでドン滑りしたのも知ってましたよ。
たまに入る公式の仕事で、一回りも歳の違う、20代の若いアイドルに使えない粗大ゴミ扱いされて、卑屈になってアシスタントしているのもわかってます。
だけど、もういいでしょ。
3年前と同じマックで、3年前と同じ、努力もしない夢を語らないでください。
そんなのは、YouTubeで浮かれているガキどもだけに許されるなぐさめなんですわぁ...