それは「厄介なファンになる」と同義だということは重々承知している。
しかし、自分をこうさせたのはそう、彼女自身。押し付けがましいが、事実。

―ガチ恋。

こう呼ばれるものなのだろう、俺も大概オタクなので単語としては知っている。だが画面越しのキャラクター相手に恋愛感情を抱くなど相当な変人か、現実に嫌気が差してしまった人の行動で、それを名乗る人間のほとんどは奇を衒う自己顕示欲の高いいわゆるファッション=B
俺も大した人間じゃあない、きっとこの感情は恋などと大層なものではなく「ガチ恋勢」というブランドを掲げたいだけのチープなもので、ファッションガチ恋勢と呼ばれる分際に過ぎないのだと思っていた。

だが、彼女が配信をしばらく休むと宣言したあの日。
心拍数が跳ね上がる。とても胸が苦しい。痛い。遠い昔に体験した覚えがあるが、あれは学生時代の夏休み前だったか。
…そうだ、当時交際していた子と毎日のように会うことはできないと分かったあの時と同じだ。
人間は対象失うことで初めて自分にとって大切な存在なのか気づくことができる偏屈な生き物。
…彼女は、俺にとってとても大切な存在であると自覚したのはこの時だった。

恋に落ちるなど何年ぶりだろうか。それでもこれが恋だとはっきりと自覚できているものだから不思議だ。
とても彼女と付き合おうだなんて気は起きない、釣り合うわけもないしましてアイテムはバーチャルな存在。

それでもいい。いや、むしろそれでいい。届かぬ恋だと分かっているなら、彼女に迷惑をかけることはない。

だから、恋をさせてくれ、たま。

君の声を聞いているだけで俺は明日も生きてみようと思えるんだ。どうしようもない世界で無様に這いずり回ってでも戦おうと思えるんだ。

愛してるよ、たま。

直接マシュマロは送れなくなっちゃったけど、君のことずっと好きでいるからね。