「よしづくし」
奉行職の家に生まれながらも部屋住みで家の事情にうんざりして家出同然で博徒をやっている後の遠山の金さんと
後に鼠小僧として処刑される鳶の次郎吉は国芳の友人で、国芳の新作が出たら買って遊びに行くという約束を守って長屋を尋ねる
そこで遠州屋佐吉とも知り合う
遠州屋はどうやって国芳を売り出そうかと思案中。得意の武者絵を描かせるとしてもさて誰を描くか
流行中の水滸伝では北斎大師匠と張り合うことになり、国芳にはその自信がない
巷で義賊と評判の鼠小僧はどうだとなると、鼠小僧はまだ捕まっていないのでお上に目をつけられると次郎吉に反対される
遠州屋は水滸伝の史進のファンで、背中に九紋龍の入れ墨を彫っていて、棒術をたしなむ
同じく史進スキーの3人と意気投合する
次郎吉は背中に桜吹雪の紋々を入れている
吉野という女郎と恋仲になり、年季が開けたら所帯を持って吉野の病気の父親と堅気の妹と一緒に暮らす約束をしていた
吉野の父親が病気で薬代が嵩み、姉妹で必死で茶屋で働くも借金は減らず、借金を返さないのは盗人と同罪という時代、
とうとう役人が来て病気の父親をしょっぴこうとするので、私が何でもするからという吉野に役人の佐倉が岡場所の良い店を紹介すると言う
この佐倉は腐れ役人で、金貸しとも薬屋とも繋がっていて、こういうことの度に女郎の紹介料を取ったり、他にも色んな店と繋がって
賄賂やみかじめ料を受け取っていた
5年の年季が開ける直前に吉野が病死する。次郎吉は吉野と添い遂げる約束を下からと背中に桜吹雪の紋を入れ、吉野の父親と妹と一緒に住む部屋も見つけ、
迎えに行ったところで佐倉がまたしても父親をしょっぴこうとする現場にはち合わせる
吉野が身売りして返したのは元本のみで、利子分の証文とやらを細工してその請求に来ていた
茶屋の看板娘として評判の妹のお梅に目をつけた佐倉が、お梅を身売りさせようという魂胆だったが、次郎吉が肩代わりを申し出、
その日のうちに家財道具一切合切処分し、鳶の親方からも借り入れて全額揃え、鳶連中、親方、名主を見届け人として役所に押し掛け佐倉に今後か変わりない旨の証文を書かせた
次郎吉は佐倉と繋がっている店を調べ上げ、新月の夜に盗みに入り盗んだ金の殆どを貧者に散撒いた
それを続けているうち、妹のお梅が次郎吉の様子がおかしいこと、鼠小僧の出た夜と一致することに気付き、3人に相談する
次郎吉の無実を証明するつもりで後を付けるが逆に次郎吉が鼠小僧だと確信し、次郎吉を含む4人で梁山泊よろしく義兄弟の契りを結んで
次郎吉に鼠だとバレていることを告げ、辞めるように懇願したり泣き落としをかけたり叱責したりするが次郎吉の心は変わらない
あと3軒、最も悪どい店をやっつけないといけない、それを持って佐倉の悪事を明るみにしないといけない
次郎吉は姿を消し、更に2軒が押し入られる
奉行所はどんなに調べても被害を受けた店の繋がりがわからない、佐倉には心当たりがあるが上司に訴えると身の破滅、鼠が捕まっても美の破滅なので、先回りして鼠を殺すしかない
その為に最後の1軒に押し入ることが次郎吉には不可欠だった
次郎吉は最後の押し入りに満月の夜を選んだ。この日は吉野の命日だった
佐倉は当然先回りしていた。逃げる途中、次郎吉は吉野の位牌を取りに長屋に立ち寄った
次郎吉が立ち寄ると、お梅は長屋中を叩き起こして鼠に感謝していた住民の協力でバリケードを築いて時間稼ぎをする
お梅は自分を人質にして逃げ延びてくれと申し出る。無言で微笑む次郎吉が逃げてくれるものと思って表に出るが、次郎吉はお梅を話して捕縛された
お梅を人質にすることで、協力した長屋の住民に咎が及ばないようにするためだった
鼠小僧になった時から次郎吉は最後は自分が捕まることで佐倉を懲らしめる計画だった
全ては死を覚悟の正義の行いだった
次郎吉の取り調べの間、毎日金さんが父親に頼み込んで佐倉の所業を調べ上げた直訴状を奉行に出していた
法を預かる役人が庶民を苦しめることも、その腐敗した役人を裁くのが盗人であってもいけないという主張を添えて
次郎吉は笑って処刑される。江戸の市民は英雄として鼠小僧の最後を見届けた
金さんは直訴状ひとつでも父親に泣きつかないとまともに取り合ってもらえない現実を実感し、
家に戻って仕事に励み出世して庶民を守れる役人になる決意をする
次郎吉が死んでからショックで暫く引き蘢っていた国芳は、ある日突然立ち直って描かずにはいられなかったと
次郎吉をモデルにした九紋龍史進図を描き、それを期に水滸伝の英雄達を描き上げ絵師としてブレイクする
というお話
これもパワフルで涙が止まらない良作。謎解きのバランスも絶妙