「深淵ってさあ……最近ちょっと調子に乗ってなくね?」
「あいつ絶対自分のこと可愛いと思ってるよね」
「陰キャのクソメンヘラのくせに勘違いしてんじゃねーよって感じ?」
取り巻きの上位カースト女子たちによる深淵評に腕組みをしたまま時折頷いて聞き入るれむっふ
集団の中心で一人だけドッカと椅子に座し、ときどき脚を組み替えては手首から先だけを動かして
上に向けた手のひらで「もっとやれ」っと煽る

「……そろそろ〆たほうがよくね?」
「でもあいつガッチリ鎧着込んでるからボコれないじゃん」
突然ガタッと音を立てて立ち上がるれむっふ
思わず一歩引いた上位カースト女子たちを首領の風格で一渡り見回した後、おもむろに口を開く
「いい考えがあるれむ」

放課後、鎧をガチャガチャ鳴らしながら逃れようとして暴れる深淵を必死に押さえつける女子たち
「れむっふさん、抑えました!で、どうするんですかこいつ……!?」
満面の笑みをたたえながらゆっくりと歩を進めるれむっふが手にしている桐製の小箱を見た瞬間
手下たちの表情が凍り付き、緊張と狼狽の空気が場を覆った
「れむっふさん、さすがにそれは(やりすぎじゃ……)」

「い〜い格好れむねぇ……特にその反抗的な目、いいねぇ?ゾクゾクするよぉ〜(ICGのパクり)」
「これ知ってるれむか?川釣り師の間では『キジ』って呼ばれてるれむねぇ?」
蓋を開けた小箱に詰まったおがくずの中でうごめくミミズを目にした深淵が恐怖のあまり硬直する
小箱から絡み合ったミミズの固まりをつまみ上げたれむっふの手が、わずかな鎧の開口部である
深淵の目の前でひらひらと躍る

「れむっふさん!さすがにそれは……!(二回目)」
あまりの残虐ショーに耐えかねた女子の一人が果敢にもれむっふにすがり付いて圧し留めようと
するも、その腕を振りほどきながら小声で呟いたれむっふの「このくらいでヘタレるような臆病者は
こいつと同じ目に遭わせてやるれむよ」の言葉に心底震え上がり、思わずその場にへたり込んだ
「もういいれむ!こっから先はれむ一人でやるからお前らはさっさと失せるれむ!」
れむっふの剣幕に恐れを成して一人二人と立ち去る上位カースト女子たち

取り巻きの最後の一人が立ち去ったことを見届け、小箱を放り出して深淵を抱き起こすれむっふ
「れむにはいちおうその……あいつらの前で示さなきゃいけない面子みたいなものがあって……」
「ううん、いいの。深ちゃは全部分かってるから」
「……ところで、その鎧というか甲冑って一人じゃ着られないし脱ぐこともできないよね。じゃあ本当に
ミミズ入れられたりしたら大変なことになってたれむねぇ……で、『誰に』着せてもらってるれむか?」
「……!///」
慌てて目をそらす深淵
「あ、ふーん(察し)。じゃあその鎧を着せてくれる『彼』とはもうこっそり”合作”しちゃった……とか?」

れむっふが再び深淵を突き倒す
ガチャリと音を立てて仰向けに倒れ込む深淵
放り出した小箱を拾いなおしたれむっふは深淵を踏み付けたままその蓋を開け、そして――――。