「な、なあ…もう結構遠くまで来たんやし、うち帰ろう?」
「ちょちょちょ、もうちょっとだけ。少し先に公園あるんですよ」
「うぅ、スースーするんやってこれ」

美兎ちゃんが「野外露出に興味あります?」と訳の分からないことを言い出したのはついさっき。
私は全力で拒否していたはずだったのに、いつの間にか彼女の口車に乗せられて。
しまいには「ぴょんぴょん!」とか「楓ちゃぁん……」とか。今思い出しても可愛いんだからずるいわ。

「そんな恥ずかしそうな顔しないでください、周りの人にバレちゃいますよ」
「いや、そんなこと言われたって。こっちは本当に恥ずかしいんやから」
「最初はソフトに、と思って下着だけにしたんじゃないんですかぁ」
「その考えは怖いが過ぎるわ……一番着けてなきゃならん布でしょ、下着って」
「大丈夫ですよ、堂々としていれば普通にしているのと変わりません」
「普通にするとか無理! 感触がもう全然違うから!」

胸が透けないよう上着を羽織ったのはいいとして問題は下半身。美兎ちゃん指定の短いタイトスカートは、
ちょっと動くだけで外気との接触を生む。普段通りにふるまう方が無理というものだ。
何より彼女の視線。熱を帯びた私の顔を食い入るように見つめてくる。そして私が羞恥の態度を取る度に
ニヤニヤと満足そうに笑っているのだから、こちらは嫌でも「着ていないこと」を痛感させられてしまう。

「楓ちゃん、可哀想。そんなに恥ずかしいことするの嫌だった?」
「当たり前やろ! ルームメイトにこんな事させるなんて、美兎ちゃんはとんだヘンタイやね」
「ヘンタイですか。下着も着けずに外を出歩いている楓ちゃんには負けますぅー」
「ぐっ、くそぉ」
「あっ、いいですねその顔。凄く可愛い、ぞくぞくする」

何で可愛いとか言うんよ。何でそんなに悦んでいるんよ。
私が恥ずかしがるほど、悔しがるほど、苦しむほどに、美兎ちゃんは悶えるような笑顔を見せる。
正直困る。そんな態度を取られたら私もむずむずする。この子を楽しませたくなってしまう。

――私が恥ずかしいと美兎ちゃんが気持ちいい。
――美兎ちゃんが悦ぶと私が気持ちいい。
点と点が、線でつながっていく。

「ただいまー」「た、ただいま」
「……ん、楓ちゃん? それ、太腿。何か垂れて」
「え、嘘、やだっ」
「いやー素質あるなぁ、さすが楓ちゃんだ」
「ちがっ、これは美兎ちゃんが見てるから意識しちゃって勝手に……」
何言ってんだ私。これはこれでまずいだろう。
「ふふ。お布団、行きましょうか?」

そんな嬉しそうに耳元で囁かれたら逆らえない。
私は露出なんて全然好きじゃないのに。全然楽しくなかったのに。
なぜだかこれからも癖になってしまうような気がしていた。