牛巻はこれだぞ↓

「牛巻です。突然すみません! 明日の22時に時間空いていたら1時間配信したいです!」

今ほど書いたメール文を読み返す。読み返したところでどうにもならないことはわかっている。さっさと送信ボタンを押してしまえばいい。押せ、押すんだ牛巻! 押せ!
それでも、どうしても読み返さずにはいられなかった。きっと、自分で書いたたった数十字のなかに、メールの送信を辞める理由を探しているのだ。文章がおかしいとか、敬語がなってないとか、くだらないことに理由を押しつけて、配信から逃げたいのだ。

気がつけば呼吸が荒くなっていた。鼓動が高鳴る。マウスを握る手に汗がにじむ。テキストカーソルの点滅が、早くしろ、早くしろよと私を急かす。
「今日はやめておこう」
声に出してノートパソコンを閉じる。震えた息を深く吐き出す。
そうだ。なにも今日じゃなくていい。だってしょうがない。心の準備ができていないのに、テキストカーソルが急かすから。急かされたらできるものもできなくなる。さあもう寝よう。明日も長い。体力を回復させて、万全の状態で臨まないとー

牛巻、強く生きろよ。

ポタポタと涙がこぼれ落ちた。近頃、寝る前になるといつも牧草ちゃんたちの言葉を思い出す。ごめんなさい、ごめんなさいと嗚咽交じりに呟いてみせるが、泣いたところで明日はすぐに来てしまうから、私は今日も配信ができないままベッドに潜り込む。