「では、己が音の出るオモチャにしようと恨むまいな。己もそうしなければ、満足できぬ体なのだ。」
下人は、すばやく、老婆の語録を切り取った。それから、仮想にしがみつこうとする老婆を、手荒く淫夢衆の前へ蹴倒した。

しばらく、死んだように泣き伏せていた老婆が、布団の中から、その肉の体を起したのは、それから間もなくの事である。
老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、毛玉や仲間が待つことを信じて、端末の前まで、這って行った。
そうして、そこから、短い白髪を倒にして、端末を覗きこんだ。
外には、ただ、崩壊した箱があるばかりである。

下人の行方は、誰も知らない。