柾花音が現実に受肉し、19歳の人間として歩み始めたという知らせが学園に届いたのはばあちゃる標準時正午、つまりは昼休みのことだった。


「由々しき事態ですわ!猫乃木もちが17歳じゃなかったのなら、この中にも年齢を偽っているお姉様方がいらっしゃるかも知れませんわ!キ──!!」


顔を真っ赤にしたピノちゃんが声を荒げて話し合いを要求する。


「まあまあ落ち着いてピノちゃん……そんな確かめようのないことなんて、話し合う意味ないとちえりは思うなぁ……」


まずい。夜桜と猫乃木をせっかく追い出したのに、消えてからも二人はちえりのことを追い詰めるのか、クソ。
なんとかして話を逸らさないと。


「あれ〜ちえりさん随分と強引に話終わらせようとしてません? まあ私は年齢なんてどうでもいいですけど、ハハッ」


すずちゃんには失うものがないからいいかも知れないけどちえりは困るんだよ!


「お困りのようなのであずきから餞別です。テッテレー、アンチスレ〜。このひみつ道具を使えば皆さんの年齢がすぐわかっちゃうらしいです。ではでは」


何でここにあずきちゃんが!? もう、どうしてこういう時だけ顔を出すの!


「反対するのはやましいからに違いありませんわ! ちえりお姉ちゃんの中身、オープン!」


ピノちゃんがアンチスレを開いてちえりにかざした。


「なになに……バックスタブ・ダブスタ・ブス・ミョーオー? いかにもタイ人らしい後進的なお名前ですわね! 年齢は……えっこの顔でその歳なんですの!?」

「もういや──!!」


憤怒と悲しみに包まれながら叫ぶちえりは、きっと明王みたいな姿をしていた。
あたり一面が炎に包まれ、学園に燃え移る。


「うおっアッツ!」

「熱いよにぇ」


炎はやがて学園を覆い尽くし、アップランドを燃やし、地球全土に広がった。
地球は第二の太陽となったのだ。


────完────