「今日はいい気分転換になったな…」
もこうとのデート終わりの電車で加藤純一はスマホを手に取る
配信界隈の動向をチェックする日課の時間だった
「帰ったらニコ生で雑談しよう」
そう呟きながら勢いランキングを開く

(なになに…ゆゆうたは4000人…高田健志は…150人!?)
思いもよらぬ有様にニチャァ…と陰湿な笑みを浮かべ、長らく見る機会のなかった梨スレを開いた

「『ハゲナスビ150人w、オワコンで草』っと」

やはり梨スレで高田と狂いをバカにするのが何よりの至福だ
すぐに狂いが噛みついてくるはず、久々におちょくって遊んでやろう
しかし梨民の反応は加藤の想像とは違うものだった

「ハゲナスビってなに?」
「たしか高田健志とかいう無名のこと」
「そんな事よりホロライブ始まるぞ」

と、スマホが震え通知が表示される
高田の動画投稿を告げるものだった
さっそく低評価を押し梨スレに貼り付ける

『けんたむの人狼解説上がったぞ』
「あくあきたーー!」
「ぺこらのリアクションやばすぎw」
「静凛をすこれ」

加藤の書き込みに反応する人間はいなかった
かつて神と讃えられた高田健志の話題に関心をもつ者は皆無であり
ホロライブなどというVtuberの実況でそこは埋め尽くされていた
加藤の目から一筋の雫が溢れ落ちる

『お通りだああああああ!?』『高田健志最弱!』『偽善者マジうざい…』

とうに降りるべき駅は過ぎ
それでも涙に顔を歪め夢中でスマホを叩いているその男の姿を
他の乗客たちは不思議そうに眺めていた