初めて風俗行った話してもいい?

風俗店を利用する同級生あるいは同僚を、心の中で「俗物」と罵っていた。先輩社員の奢りでピンクサロンへと吸い込まれていく同期を、心の底から軽蔑していた。
私は今日、その男根への承認という勲章を求めて風俗店を利用する許されざる「俗物」となった。最もなりたくなかった存在へと身を落としてしまった。それだけではない。
下らない自尊心と間違った配慮、そして醜い自意識によって、正常に風俗店を利用する彼らよりも程度の低い存在へと成り下がったのだ。
そして、自分の汚れた心の言い訳にこのような俗物的な文章を書き残すことが、さらに私自身を俗物へと貶めるのだ。
私は鬱病だった。毎日のように精神的発作を起こし、衝動的な自傷行為――主に私が許し難いと感じている非道徳的な行為を私自身が行うこと――に明け暮れ、
一人孤独に単調な日々を過ごしていた。それでも、他者を私の精神的安定の材料として利用しない、という規範を自分に課していた。
それが今日、あろうことか破られたのだ。気づいたときには風俗街にいた。私は自身が脳内で散々に罵倒していたあの「大学生」あるいは「社会人」達と同じ線の上に立っていた。
ここ数ヶ月の見窄らしい自らの行いを、許されざる粗相の数々を精算するため、最も忌み嫌う場所へとこの脚が無意識に私の身体を運んだのだ。私は鞄から精神安定剤を取り出し、僅かに残っていた飲料水でそれを胃の中へと流し込んだ。
何度も嘔吐しそうになりながら、それまで未来永劫に自分とは関係のない場所だと思っていた欲望の通りを歩いていく。私はこれから、今まで見下してきたあの俗物達と同じ存在となる。価値のない私にはそれくらいの地位が相応しい。しかし、ああ、なんということだろう!
真面目に労働として性交を提供している女性が、そんな卑俗な目的のためにこれから私と交わるという悍ましき状況が発生しているのだ。
なんと失礼なことだろう。なんと不誠実なことだろう。彼女らはその吐き気を催すような目的に協力するため労働時間とその身体を提供することに同意するだろうか?
――するはずがない! もしそうでないのであれば、同意しないことを強く勧める!
性産業に従事するということ自体が――その産業構造が現実的に女性への搾取を含まざるを得ないという事情こそあれど――世間一般で言われているような尊厳を切り売りする行為だとは思わない。
しかし、私のこの悪意に満ちた目的を拒絶せず性交に応じることは人間の尊厳を切り売りする行為だと言っていいだろう。根源的な悪人である私は、黙ってその目的を達成しようとしているのだ。他者を利用してまで!
最も店舗の密集する地帯に入ってから入店まではそう時間を要さなかった。雨が降っていたこともあってか、
休日の夜にしては人通りがかなり少なかった。私は「これ以上ここを歩くのは耐えられない」と感じた地点で歩みを止め、二、三歩戻って完全に初めての領域へと足を踏み入れた。
目に映った中で一番美しいと感じた風俗嬢を選び、直後にはその行為が行われる部屋へと導かれていた。他者の外見を値踏みするようなことをしてしまった自分がいやになった。自分は最低の人間であるという自覚が床板を踏みしめる毎に強くなっていった。