Mr.R「日本のお寿司はご飯に油が乗っていてオイシイネ」
からあげ「頑張って作ったかいがあった」
Mr.R「えっ、このオスシアナタが?」
からあげ「早起きして作ってきたよ」

Mr.Rは気が付いてしまう。
ご飯にこれでもかと塗りたくられている油の正体にッ...!!
先まで和食のもてなしに舌鼓をうっていたのが嘘のように、Mr.Rは底しれぬ絶望感に支配された。
全身に鳥肌が粟立ち、ぷるぷると寒夜の野良犬のごとく体を震わせる。
「この油のショウタイは...?」
禍々しい毒物を食べた事を認めたくなくて、自分の想像がただの考え過ぎであると思いたくて...。
からあげの口から自身の妄想を否定する言葉が出てくる事を期待してMr.Rは恐る恐る尋ねた。
「油? 油なんて使ってないけどね。今朝暑かったから汗でも混じっちゃったかもねー」
からあげは屈託のない笑みを浮かべて言った。
現実はあまりにも過酷であった。
目を糸のように細めたその笑顔を見てようやくUMEBURA配信の時に実況席にいた女と目の前の巨漢の女の顔が一致する。
以前配信で見た時は一言喋るたびに唾の混じるような音が聞こえ不快感極まりすぐにブラウザを閉じたものだ。
目の前の女は只者ではないオーラを纏っていた。おかめだとか般若だとか、そんな物が擬人化した存在である事を疑う余地はない。
「アール君顔色悪いけど大丈夫?」
からあげは心配そうに言うとMr.Rの額に手を当てた。
彼女の唾と脂汗が顔にかかる。額に当てられた手はねっとりとしていて納豆のフイルムが手についた時のような不快感を連想させた。
Mr.Rは理解する。
自分の人生はここで終わりだと。この国から生きて出る事はできないだろう。
いうなら自分は巨大蜘蛛に囚われた小蝿。この女を前にして抵抗する術などあるわけがないのだ。
あまりにも無力。このままじわじわと捕食されていく事しかできない運命...。
だが、我が身朽ちようとも仲間にこの脅威を伝える事くらいは出来るはず!
予てから疑問だった。ZeRoが何故日本の大会に出ないのか。それを問いただす度に彼の表情が、その瞳が恐怖に染まる事には気づいていたッ...
今なら分かる。ZeRoはこのおかめの様な女を恐れていたのだと
ZeRoが恐れる程の人間(怪物と言った方が相応しいか?)だ、自分如きが戦って勝てるはずもない。
だが、戦う。祖国で待つ仲間の為にッ! 時間が稼げればそれでいい!!この命、くれてやる
Mr.Rの顔は先までの怯えた表情から一点、勇ましい戦士の顔立ちになった。
その瞳には焔が灯っている。死すらも享受した者しか作り出せない闘志を身に纏い、彼は立ち上がった。
「仲間の為だ、悪く思わないでくれ」
Mr.Rの突然の台詞にからあげが反応を見せる前に、それが宣戦布告の言葉だと理解する間もなく、彼は彼女の胸ぐらを掴むと力任せに前へと放り投げる。
「く、まさか私に逆らうとはね!」
からあげは顔に般若の形相を浮かべて叫んだ。飛ばされながらも腕を組んでガードの態勢を取る。
「残念ながらこれは確定コンボだッ!」
Mr.Rはそう言い放つと渾身の跳魚を彼女の顔面に叩きこんだッ!!


次回. .アメリカにいるVoidに届いたメールとは...?!