「おつなとなと〜」
お決まりのあいさつで配信を締める。時刻は深夜3時過ぎ。800人のリスナーが今日は来てくれた。
「さて、次の配信の用意をしないと……」
良質な配信を作るためには準備が欠かせない。そして、良質な配信が出来なければリスナーは増えない。
私は常に準備をしてきた。根回しも、常に相手が喜ぶ事を探り挑戦し実行してきた。
なのに……。なのに、なぜ登録者が増えないのか!!!!
思わず怒りで机を殴っていた。ジンジンとした痛みが伝わってくる。
『この前は楽しかったね』
『また行きましょうね』
『今度は私も行けるといいな』
ディスコードの楽しそうな会話。私を抜きにして続いている。
今更この輪に加わろうというつもりは無い。群れるのは弱者のすることだ。
こんな馴れ合いに付き合うくらいなら自己研鑽に時間を費やすべきだ。
なのに、なぜ努力している私は伸びず、遊んでいるだけの彼女たちが順調に伸びていくのか。
LINEを開く。頼みの花音も栞桜も一切の応答がない。これまではすぐに返事をくれていた名取すらも。
私は本当に孤独になってしまったのか……。いや、私は孤独ではない、孤高だ。
群れずに己の実力だけで勝ち上がって見せる。
でも、これが強がりなのはわかっている。本当は今からでも彼女たちに加わりたい。
彼女たちなら一度裏切った私のことも許してくれるだろう。
ただ、私の高いプライドがそれを許さなかった。
「……配信の準備をしなくちゃ」
他に誰もいない部屋で一人呟いた。
ディスコードの通知音だけが、楽し気に鳴り続いていた。