パーソン型の VTuber は、あくまで人間(自然人)が、キャラクター・アバターの表象を衣装のようにまとって、
動画配信などの活動をおこなっているものである。
したがって、その VTuber としての活動(発言やふるまい)に関して、誹謗中傷・名誉毀損・ハラスメントなどの人格権侵害がおこなわれた場合、
その侵害の矛先は、表面的にはキャラクターとしてのVTuberに向けられているとしても、
結果的には「中の人」「パーソン」である人間(自然人)に帰着・帰属することになると言える。
キャラクターが傷つけられることは、自分自身の人格が傷つけられることと直結しているからである。
したがって、この場合、VTuber の「中の人」が自らの人格権を行使して法的保護を受けることが可能である。
侵害者の側も、このタイプのVTuberに対する攻撃は、「中の人」への攻撃とほぼ一致することを了解しているはずである。
なお、この議論は、俳優が作品において役(悪役)を演じ、その役に対して非難がなされた場合、
それを俳優本人への非難と同視することが妥当かという問題と対比して捉えることができる。
この場合、役に対する非難と、その役を演じる俳優本人(の技量など)への非難とを区別して捉えることが可能である。
対して、パーソン型 VTuber の場合、個々の VTuber により程度の差はあるが、キャラクターへの非難と、
パーソン自身への非難とを切り離すことが困難である。
また、ゆるキャラのツイートなどに対して、暴言を返す(ディス)という事例とも対比できる。
ゆるキャラのツイートは、実際には、実在の人間である担当者(「中の人」)が発言内容を考案して発信しているものであろうが、
ゆるキャラのツイートに対して非難がなされたとしても、「中の人」への非難とは切り離すことができる。
ただし、攻撃者が、キャラではなく「中の人」を攻撃する意図を持って「キャラディス」を繰り返すような場合は別であろう。
https://researchmap.jp/harata/presentations/17931819/attachment_file.pdf