笑止。実在など確認も不要…
天使やら悪魔やら、所謂「空想上の存在」なんてモノを、私は信じていなかった。そんなモノに些か理解が及ばない。されど、そんなつまらない信条は簡単に覆される結果となった--
今日はツイてなかった。朝からコーヒーをひっくり返すし、職場に着く前に渋滞に巻き込まれるしあの憎たらしい上司に面倒な案件を押し付けられた。しかし、ここまでは、まぁ日常においてよくある事だろう。その負の確率が収束したに過ぎない。でも本当に"ツイてない"のはここからだった。連日の労働と重なる睡眠不足で、私は家路を辿る最中、ハンドルを握らねばならない状況にも関わらず、眠気の川でこっくりこっくりと、船を漕いでいた…気づいた頃には遅かった。対向車線のハイビームで上手く視界を支配できない中、正面から5tトラックが突っ込んでくるのが見えた、その刹那……痛みは感じなかった。どうやら死んだらしい。死ぬってのは、もっと痛みとか苦しみとかを強制的に堪能でもさせられちまうもんなんだと思っていたが、存外そんなことは気に留めなくてもすぐに死ぬらしい。
さて、死んだ親父は元気にしてるかな、そんな不吉でも無いことを脳裏に浮かべながらも、これから如何様に確実なる死への一途を辿るのか、好奇心と恐怖心がブレンドされた不快な感情を、心が啜る。一筋の光が差してきた。既に時なんて止まっていた。周りに映る全ての景色が灰色となり、その光から降りてくる"ナニモノ"かだけに、鮮明な色がかかっている。
神々しい翼と、金色に輝く刃物のような輪状の物があると、目が脳に訴えかけてくる。いや…そんなはずは…