>>669のsyamuさんの小説の「第2話 天神姉妹」で主人公の神谷圭佑が警察に取り調べされる名場面

「神谷圭佑。お前がやったんだろうが」
 狭い取調室に、刑事の低い声が粘りつくように響く。俺は力なく首を振るだけで、何も答えられない。やっていない。だが、証拠はすべて俺が犯人だと示していた。どうして。誰が。思考は霧散し、絶望だけが腹の底に澱のように溜まっていく。
「いい加減に認めろ! お前のくだらない動画のせいで、どれだけの人間が迷惑してると思ってるんだ!」

 絞り出すように、声が出た。
「……俺だって、誹謗中傷されてるんです。殺害予告まで……警察は、何もしてくれないじゃないですか」
 場違いな反論だった。刑事は鼻で笑う。
「誹謗中傷されるようなことをした、お前が悪いんだろうが。嫌なら、ネットなんてやめればいい」
 正論だった。その正しさが、ナイフのように心を抉った。もう、どうでもよかった。会社もクビになるだろう。親にも、妹にも、顔向けできない。俺の人生は、本当に終わったんだ。