根本はその時、イラついていた。前日に後輩達とやった麻雀で立て続けに負けて箱を割っていた。
あーまじムカつく、またジジイでも殴るかな。根本は思っていた。そんな彼の目に留まったのは
這って居室から出ようとする黒澤だった。ジジイまた徘徊かよナメやがって、シバき倒したろか。
ポケットに手を突っ込みながら夜の廊下を歩く根本。辺りの居室ドアにガンをくれながらチーマー歩きをする。
オラァ、ジジイ!何度言えばワカんだコラァ、と思いながら無言で黒澤に蹴りを入れる。うずくまって
動かなくなった黒澤の脚を引っ張り、重い米袋でも扱うかのようにズルズルと居室に引き戻す。
ヨッコラセっと。生ゴミの詰まったごみ袋でも担ぎ上げるかのように黒澤を持ち上げベッドに戻す。
今度ナメた真似しやがったらマジでいてまうかんなボケ。根本はブツブツ言いながら宿直室へと戻った。
「静かにさせてきたわ」宿直室でスマホを弄っていた同僚に伝える根本。おもむろにスマホを取り出し、ソシャゲの続きを始める。