これ貼っといてやるよ

なぜ“世界で類を見ないサービス”が誕生したのか?

桐畑さんの会社のデータによると、退職代行を利用する人の約6割が20代だそうだ。
さらに多くの人が、1年未満の勤続年数。これらから「短期離職のため自分からは言い出しにくい」
という理由で利用する人々の存在が浮かび上がる。

この事実だけ見ると、「退職代行を利用する人は無責任で仕事にやる気がない」という世間の声と一致しそうだ。
しかしなかには、ブラック企業に勤めていて「辞めたいのに辞めさせてもらえない」ために仕方なく利用する人々もいることを知ってほしい。

今や空前の人手不足で、どこの企業も社員に辞められると困る。
ブラック企業ほどその傾向にあり、勤務先の上司や経営者が「辞めるのはいいが、その前に話し合いが必要だ」と主張して、
退職をズルズル先延ばしにしてしまうのだ。なかには何度も意味のない面談を行って、辞めたい社員を精神的に追いやって諦めさせるところもある。

法律を理解している人ならば、会社が認めなくても退職は成立することをご存じだろう。
いくつか例外はあるが、桐畑さんは本書で民法627条1項について、
「辞めたいと思ったらいつでも解約を申し出ることができて、退職届を提出した日から2週間後に雇用関係がなくなる」と解説している。
この条文のどこにも「雇用主の許可が必要」と書かれていないのだ。

ところがこの法律を知らない社員につけこみ、「お前なんかどこの会社に行っても通用しない。
うちが拾ってやっているんだ」と脅して引き留めようとする会社がある。それどころかこの法律を知らないために、
「退職日を決めるのはうち(の会社)だ!」と正気じゃないことを平気で言う会社もある。

本書を読んでいると、労働者側だけに問題があるのではなく、
日本に蔓延したブラック企業が退職代行という“世界で類を見ない”サービスを生み出したと痛感する。