「本件で特徴的なのは北岡氏が“善き”権力者であることです。福祉業界の天皇とまで謳われ、政治家や官僚にも影響力を持つ北岡氏は、権力者であると同時に障害者福祉や障害者アートを開拓してきた“偉人”でもあります。確かに北岡氏の権力は絶大ですが、それだけが原因でハラスメント被害者が沈黙を強いられたわけではありません。『福祉の英雄に対し“セクハラ程度”で訴えるとは何事だ!』『“セクハラ程度”で騒いで障害者福祉を後退させるつもりか!』『利用者のことを考えろ!』という有形無形の圧力もあったのではないでしょうか。これが長年にわたりハラスメントが黙認されてきた理由だと思います」
「福祉業界には多重の性差別があることも原告が述べられました。管理職は男性ばかりで現場の平社員は女性ばかりという構成は人事を大幅刷新する前の愛成会も該当しています。こうなると男女間の賃金格差も非常に大きく出そうです。福祉にありがちなこの構図は、日常的に男女差別が強化され再生産されていき、女性差別の極致としてセクハラが横行している訳です」
「北岡氏や側近たちには、被害者女性の弱みに付け込んでいる面もあります。セクハラの関係性は、逃げ出して終わりにならないところから始まります。逃げれば職を失い残れば暴力を受け続けるダブルバインドです。本件ではそれに加え、やりがい・意欲・責任感までも搾取されていました」
「北岡氏は『女性の方から誘ってきた!』と主張を始めておりますが、様々なセクハラ加害者を見てきた経験からすると、北岡氏は本気でそう信じている節がありそうです。北岡氏にとって社員とは一緒に働く仲間ではなく、自分に奉仕する駒でしかなかったのでしょう。周囲をイエスマンで固め、楯突く者はおらず媚びへつらう者ばかり置いているわけですから、北岡氏が他罰思考でものを言っても不思議ではありません」