全国にディスカウントストアを展開する「ダイレックス」(本部・佐賀市)の愛媛県の店舗で働いていた元社員の男性が、未払いの時間外賃金など439万円を求めた訴訟の判決で、長崎地裁は26日、同社に249万円の支払いを命じた。社内システム(タイムカード)に記録された以外の時間も残業をしていたと認められるかが争われたが、判決は、原告が膨大な業務をこなすためタイムカードに打刻した後も働いていたことや、時間外労働が規定の時間内に収まるよう上司が記録を修正していたことなどを認定した。

 原告は長崎市の内野登士紀(としき)さん(34)。2011〜16年、愛媛県などの店舗で、品出しや在庫管理などをしていた。退職後の17年3月、請求権が残る2年分の未払いの時間外賃金などを求めて提訴した。

 判決によると、内野さんの勤務する店では、時間外労働の上限が月30時間となるよう勤務シフトが組まれていたが、人員不足などで到底上限内に収まらなかった。古川大吾裁判官は、上司らへの業務上のメールの送信記録や警備システムの記録、元同僚の証言などから内野さんがタイムカードに退社の打刻をした後も仕事をしたり、休憩時間の打刻をしても実際は働いたりしていたと認めた。

 内野さんの時間外労働は多くの月でタイムカード上、上限ぎりぎりの「30時間」と記録されていた。これについて判決は「店長は上限を月30時間とするよう指示を受け、シフト通りになるように打刻を修正していた」と認定。具体的には、タイムカード上は時間外労働が15分になると0・25時間とカウントする仕組みになっているため、数分修正して「14分」にするなどし、時間外労働を減らしていたと指摘した。

 そのうえで、内野さんが月30時間の社内上限に加え、最大で月80時間の時間外労働をしていたと認め、未払いの時間外賃金153万円と付加金96万円の支払いを同社に命じた。

 判決を受け、内野さんは「業務量が多すぎて上限内の残業では到底仕事をこなしきれなかった。その実態を改善せず、タイムカードを修正してごまかした会社の責任は大きい」と語った。

 ダイレックスの担当者は取材に「判決内容を把握していないのでコメントできない」と答えた。

 同社は食品や日用品、医薬品などを販売するディスカウントストアを九州や四国、中国地方など全国に309店展開し、20年3月期の売り上げは2300億円。信用調査会社の東京商工リサーチによると、19年度まで7年連続で佐賀県の企業で売り上げトップになっている。【樋口岳大】