>>72
今回の中外製薬株の下落を一言で表現するなら、「中外の現在の業績が崩れているのではなく、将来の大型新薬によって現在の高い企業価値をさらに拡大できるという期待が、急速に再評価されている」と見るのが適切です。

株価が約5955円程度まで下がれば、単純計算で中外製薬の株式時価総額が10兆円を割る水準になります。もちろん10兆円という数字自体に経済的な意味があるわけではありませんが、株式市場心理としては、「10兆円企業としての中外製薬」という象徴的な評価水準が崩れつつあります。

PBR4.89倍は「割安になった」とはまだ言えない。6032円でPBR4.89倍ということは、市場はなお中外の純資産に対して約4.9倍の評価を与えています。「これほど株価が下落しても、なおPBR約5倍のプレミアムが残っている」と見るべきです。

最も適切なのは、「超過収益力に対する成長プレミアムの剥落」ではないでしょうか?

中外製薬は高いROEを生み出しています。しかし、その高ROEが永久に続くとは限りません。製薬企業の場合、現在の大型製品が成熟すれば、

独占的な高収益 → 競争・薬価・特許切れ → 利益率低下

という圧力が生じます。株式市場は常に、「次のヘムライブラは何か」を評価します。

その意味で、GYM329の問題は単なる一開発品の失敗ではありません。「中外の次世代パイプラインには、現在の高い企業価値を正当化するだけの大型資産が十分存在するのか」

機関投資家の評価が置き換わりつつあることを示している。